【ネクステージ】保険不正問題で浜脇社長が辞任。上場廃止の可能性はあるのか?

中古車販売大手のビッグモーター(BIGMOTOR、BM)に続き、業界2位のネクステージでも保険契約のねつ造が発覚しました。

この不祥事を受けて、ネクステージは9月11日、浜脇社長が同日付けで辞任したことを発表しました。

ビッグモーターの前社長の兼重宏行氏と同じ決断を選択したことになります。

ネクステージは、現会長の広田靖治氏が社長を兼任することになりますが、今後販売台数は減少し、ビッグモーターと同じように、経営状況が厳しくなることが予想されます。

しかし、ビッグモーターと異なる点は、ネクステージは上場企業だということです。

東証プライムに上場しているので今回の不祥事の影響で株価が大暴落しています。

また、一部では「上場廃止」するのでは、という不安の声も上がっています。

今回の記事では、以下の内容をお届けします。

ポイント

・浜脇浩次社長の辞任の理由

・不祥事発覚からの株価の推移

上場廃止の条件を紹介

上場廃止の可能性を推測

ネクステージの浜脇社長が辞任

ネクステージの浜脇社長が辞任
ネクステージの浜脇社長が辞任

自動車保険契約のねつ造の不祥事を受けて、ネクステージは9月11日、浜脇社長が同日付けで辞任したことを発表しました。

8月下旬の自主点検では「保険金請求について不正は確認されなかった」と公表していましたが、週刊文春の取材を受けた後の9月1日に一転して以下の不祥事があったと公表しました。

見つかった不祥事

1.乗らない車を使うなどの保険契約のねつ造・・・・8人

2.保険の加入を条件に車の値引きを提案・・・1件

3.タイヤ保証をめぐる不適切な行為・・2件

今回の辞任は、その一連の責任をとったとみられます。

浜脇社長の辞任の経緯と理由

浜脇氏はビッグモーターからヘッドハンティングされる形で、ネクステージの役員に就任しました。

その後、ネクステージはビッグモーターの経営手法を取り入れるようになったと言われています。

いわゆる、「ビッグモーター化」です。

店舗巡回やインセンティブ制度、利益至上主義、保険契約の不正などが、その一例です。

ネクステージでも、タイヤ保証などで不適切な行為があり、「新たな経営体制のもとで今後の経営を行うべき」という理由で、浜脇氏から11日、代表取締役社長を辞任したい旨の届出が取締役会に提出されました。

浜脇氏は今後、グループ各社のすべての役職からも離れる予定になっています。

ビッグモーターの社長と副社長が辞任したんだから、辞めるのは当然だろうね。

浜脇社長は元ビッグモーターの役員

浜脇社長(53)は、元ビッグモーターの役員です。

以下の記事で、経歴やプロフィールについて詳しく紹介していますので、興味のある方は覗いてみて下さい。

浜脇氏は、ビッグモーターの悪の元凶とされる兼重宏一氏と一緒に働いていたよ。

後任は現会長の広田靖治氏が兼任

後任の社長は創業者の広田靖治会長が社長を兼任することになりました。

広田氏は1973年7月31日生まれの50歳と、まだまだお若い方です。

創業者の広田靖治会長
引用元:https://www.ceo-checker.com/ceo-detail/72.html

経歴・学歴・プロフィールは以下のとおりです。

1973年大阪府西成区で生まれる
1990年~
1992年
定時制高校を中退後、様々な職を転々とする
1992年ガス給湯機器販売の会社に入社。トップセールスマンとして活躍
1996年中古車販売業を始める
1998年オートステージヒロタを設立し、代表取締役社長に就任
2000年オートステージ1号店(現・UNIVERSE名東)をオープン
2002年スバル車販売を目的にネクステージを設立し、1号店を愛知県春日井市にオープン
2004年オートステージヒロタとネクステージを統合し、商号を「株式会社ネクステージ」に
2010年株式会社ネクステージ代表取締役社長兼CEOに就任
2011年無店舗型での自動車出張買取事業を開始
2011年カーコーティング事業を目的に株式会社ASAPを設立
2013年東証マザーズに上場
2014年東証一部に市場を変更
2014年名証一部に上場
2014年Amazonにて中古車販売スタート
2015年SUV専門店「SUVLAND」の展開を開始
2016年正規輸入車ディーラー事業を開始
2018年「株式会社Ai」としてネクステージ初ブランドとなるアウディ正規販売店4店舗の運営を開始
2018年大型の中古輸入車専門店「UNIVERSE」の展開を開始
2019年整備士学校を運営する学校法人土岐学園と業務提携

引用サイト:CEO Checker
https://www.ceo-checker.com/ceo-detail/72.html

広田氏は、4人兄弟の末っ子で家庭は経済的に厳しかったそうで、中高生の頃から学費を稼ぐためアルバイトをしていた苦労人です。

広田氏の今後の経営方針によって、ネクステージがユーザーからの信頼を取り戻せるか、それとも客足が遠のいているのか運命が分かれるでしょう。

株価の下落が止まらない状況

ネクステージは東証プライムの上場会社です。

ビッグモーターの保険金不正請求に関する謝罪会見前(7/24)には3,755円だった株価が、ネクステージの不正発覚により、9/14時点で1,938円まで大暴落しています。

一時はストップ安となり、半額を下回っていました。

ネクステージの株価の推移(不正発覚の前後)
ネクステージの株価の推移(不正発覚の前後)

下落率は48%!株主はたまらないだろうね。

株価が下落している理由は、世間からのイメージがダウンし客足が遠のくと予想されていること。

もう一つは、今回の不祥事により営業職のインセンティブ制度を廃止するため、さらに売上低下すると、嫌気されたようです。

上場廃止する可能性は?

ネクステージは、不祥事発覚後、「上場廃止」の声がささやかれています。

ビッグモーターのように数々の不祥事が重なる場合は、上場廃止の可能性は非常に高いと思います。

しかし、ネクステージの場合に当てはめると、その可能性はあるのでしょうか。

上場の廃止基準から、現時点の可能性を検討してみます。

上場廃止基準

上場廃止となる基準が、有価証券上場規程に定められています。

その廃止基準の中で、今回のネクステージの不祥事と関連がありそうな項目は、以下の「上場維持基準への不適合」と「特設注意市場銘柄等」の2項目です。

項目上場廃止基準(各市場共通)
上場維持基準への不適合
上場維持基準に適合していない場合において、適合しない状態となった時から原則として1年(上場維持基準の売買高の場合は6か月)(注1)内に上場維持基準に適合しなかったときは、上場廃止となります。
なお、上場維持基準に適合しない状態となった場合は、当該状態となった時から起算して3か月以内に、原則として1年(上場維持基準の売買高の場合は6か月)(注1)内に上場維持基準に適合するための取組み及びその実施時期を記載した計画の提出が必要になります。
特設注意市場銘柄等1.特設注意市場銘柄の指定要件に該当するにもかかわらず、内部管理体制等について改善の見込みがないと当取引所が認める場合
又は 2.特設注意市場銘柄に指定されている間に、内部管理体制等について改善の見込みがなくなったと当取引所が認める場合
又は 3.特設注意市場銘柄に指定されたにもかかわらず、内部管理体制等について改善がなされなかったと当取引所が認める場合

引用元:JPX日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/outline/01.html

この2項目の条件を抜粋すると以下のとおりです。

上場廃止の条件(可能性のあるもの)

1.上場維持基準に適合していない場合で、1年以内に上場維持基準に適合しない場合

2.内部管理体制等について改善の見込みがないと当取引所が認める場合

上場維持基準とは、株主数や株の売買代金、純資産について定めたものです。(下表参照)

株主数が800人以上など、上場維持するための最低限の条件となるため、条件に当てはまる可能性は少ないでしょう。

上場維持基準
引用元:https://www.jpx.co.jp/equities/listing/continue/outline/01.html

株取引が少ない銘柄や潰れそうな会社は廃止ってことだね。

危険なのは、内部管理体制の不備かな・・・

上場廃止する確率は?

結論からお伝えすると、現時点では上場廃止となる可能性は低いと思われます。

1つ目の上場維持基準については、負債の総額が資産の総額を上回ったり、株式の流通量が極端に下がらない限り、条件に当てはまることは無いので、大丈夫でしょう。

また、2つ目の内部管理体制については、今後広田氏の方針のもと、内部統制、コンプライアンスをふくめたガバナンスの強化にあたると思うので、これ以上の不正が発生しない限りは、問題ないと考えます。

まとめ

今回は、保険金契約のねつ造(不正)が発覚したネクステージについて紹介しました。

元ビッグモーターの役員である浜脇社長は辞任したものの、今後は広田会長の元、ネクステージは新たに経営を見直すことになります。

上場廃止の可能性は低いと思われますが、ビッグモーターのように不祥事が次々と明るみに出た場合は、上場廃止の不安だけでなく、倒産の可能性も出てくるかもしれません。